カヌレってどんなお菓子?
カヌレといえば、一時期 日本でも爆発的なブームを生み出し、その名前を知らない人も少なくないはず。
黒くカリっと焼き上げた表皮の奥には、なんともまろやかで優しい甘さが広がり、その美味しさは 女性だけでなく、日本中の多くの人たちを魅了しました。
ビゴ東京でも、そのブームの火付け役として20年以上前から毎日焼き続けています。
【パンの小話】 カヌレ日本発祥秘話、ここに。ビゴのカヌレって、美味しい! (2009.8)
カヌレの発祥は、フランス・アキテーヌ地方に属す「ボルドー」であるといわれています。
ボルドーというと、赤ワインの名産地としてこそ有名な街ですが、「ワインが生産される土地は美味しいものがない」という説も、このボルドーにいたってはあながち否定することができません。
街こそ大きく、歴史的建造物も多々見られるボルドーですが、この街を訪れれば、意外にもフランスでは珍しく「その町特有の食文化」をあまり感じることができない、というのが正直な感想かもしれません。
(やはりボルドーの楽しみ方は、中心街からはなれてワイン街道を巡るのが良さそうです。)
さてそんなボルトーのスペシャリテ「カヌレ」ですが、実はこのお菓子の由来は、このアキテーヌ地方に属すボルドーだからこそ、歴史的にも密接な関係にあったイギリスにあると言われています。
ボルドーは、ローマ時代の終わりから既にワインの主要生産地でしたが、1152年に重大な出来事が起こります。
ボルドー地方の領主だったアキテーヌ公領のエリオノール妃がフランス王ルイ7世から離婚され、アンジュ伯でノルマンディ侯であったアンリ・プランタジェネと再婚します。
その2年後の1154年に、プランタジュネは英国王位相続した為、ボルドーを含めフランスの西半分は英国領となり、その支配は以降300年にも及びました。
その支配下でイギリスの影響を受けたのは、ワインとお菓子。
実はカヌレのもとは、プディングやマドレーヌであったと唱える人も少なくないのです。
Cannele (カヌレ) とはフランス語で「溝をつけた」という意味。
その独特な形が昔からのシンボルですが、そのアイディアもボルドーならではのもの。
醸造中のワインの澱をとるためのコラージュという作業の際に、大量の卵白を使用するのですが、その時に余った卵黄を捨てずにどうにか使えないか・・と思考をこらして作ったお菓子がカヌレなのです。
そのカヌレもしばらくは修道院で修道女たちがひっそりと作りづつけることによって受け継がれてきましたが、18世紀ごろには菓子職人たちの手によって確立され、いまのスタイルがあります。
その特徴として蜜ろう(ミツバチの巣の主成分)を型に塗るのですが、この蜜ろうによってカヌレ特有のあのカリっとした表皮、そしてモチっとした中身に仕上がるのでしょう。
伝統菓子の魅力は、そのお菓子の裏にはさまざまな歴史と時代背景が伺えること。
ビゴ東京では、一時のブームに流されるのではなく、ブームが去ったいまでも毎日欠かすことなくカヌレを焼き続け、日々その美味しさを提案しています。
Le cannele est une specialite bordelaise et, de fait,
ils sont a base de farine (on en debarquait beaucoup sur les quais de Bordeaux)
ainsi que de vanille et de rhum (ce qui signe en general une origine portuaire).